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Saturday, September 28, 2013

お知らせ~新刊本、『昭和の鉄道施設・東日本編』、発売になります!

お知らせです。

悲願の本、完成!


9月30日、拙著『昭和の鉄道施設・東日本編』が発売になります。
既に一部書店では発売になった模様です。
手元に出来たてホヤホヤの本が届きましたので宣伝します~。

内容は最初から最後までひたすら駅舎をはじめとした駅構内構造物とその駅周辺の各種建物を中心にしたストラクチャーばかりの写真集です。
この写真集を作ったきっかけは、簡単に言うとこの種の本が世の中に見当たらないなら、自分が作ろうと思ったからであります。
そして本を作るなら地面派モデラー向けに、現在まとまった資料が皆無と言って良い国鉄民営化前後の昭和の鉄道を取り巻くストラクチャーを概観出来る資料を提供したいと言うことにありました。

私自身、『地鉄電車』を創るにあたってネット検索なんて存在しなかった当時、その参考資料集めに大変苦労をしました。
その時に手元に置いて役に立つ資料の必要性を痛感しておりましたが、現実的には色々な記事に埋もれた何気無い情景写真をこまめにスクラップした資料以外は、自分の足で集めた写真やその時感じた臨場感が頼りでした。
その資料集めのための取材旅行がいつの間にか建物巡り自体を楽しむ自分の趣味の一分野と化すようになりました。
そしてその約30数年の蓄積がそれなりのボリュームになってゆきました。
今回の本はライフワーク的になってきたストラクチャー探訪の成果を纏めたものです。

本文部分はこんな雰囲気です


上記のような理由から、本書はモデラー目線をコンセプトにしていますので、例えば駅舎にしても格好の良い正面からの『絵になる』画像は勿論あるものの、あまり格好のよくないホーム面や側面等、できるだけ四方の様子がわかるように心がけて編集をしたのが特徴です(上の写真の感じです)。

駅舎をサンプルにした基礎データも掲載

また、建物を設計・製作するのにネックになる最低限の実物の基礎知識と製作するのに役に立ちそうな図面や各種寸法や傾向的な数値データも合わせて掲載をすることで、模型製作の一助になればという思いもあります(同じく上の写真のような絵入りでの解説をしてみました)。

この本、実は構想から約20年以上かかって実現に至りました。
実現までの道程は長かっただけに出版に漕ぎ着くことができたことは感無量です。
名取編集局長のご配慮で、内容は基本的になるべく削らない様に東日本と西日本の2冊に分冊にしようとの提案を受け、喜んでお願いを致しました。
今回はその前編・東日本編です。

過去の資料も抜粋


上記の話しと若干ダブりますが、モデラーの目から見た鉄道関連の施設・ストラクチャーの参考書といえば河田耕一氏の『シーナリーガイド』が何と言っても一番のバイブル本で、尚且つ空前絶後と言っても差し支えない状況です。
そしてその後に続くものは中々出ないままに現在に至ってしまっています(モデラーからの視点という点ではアプローチが若干違うもので次に参考になる本としては大正出版刊『鉄道風景懐古』があります)。
そのバイブル本『シーナリーガイド』もかなり前から入手不可能(改訂版のような存在の『鉄道風景30題』は入手できます)な状況になっています。
鉄道趣味の中でも余り顧みられないというか陽の当たらない分野なので致し方ないのかもしれません。

河田氏のガイドは蒸気機関車が元気だった1960年代までの鉄道風景を氏特有の文章と共に綴られており、読み物としても楽しめる内容となっていますが、その後の国鉄民営化前後を挟む1970年後半から2000年頃までの鉄道風景も急速に過去のものになりつつあります。
有名な駅舎は市民運動で保存が実現したり近年は産業遺産の認識が少しづつ芽生えてきたことで以前よりは古い建物類に対する意識は若干改善したものの、日本全国大半の懐かしい鉄道施設はそんなことを顧みられる事もなく、いつの間にかこの世から消え去ってしまっています。
特に、国鉄民営化後は合理化によって遊休化した建物に対する税金対策から、急速に不要なものは撤去される傾向が顕著になってきています。

そんな鉄道施設の記録を後世に残すことは鉄道システム全般の記録として陽の当たる車両等と同じレベルで大切なことではないかとChitetsuは思っております。
そこで、誰もやらないなら河田氏の著作の『その後版』を、不肖私がやりたいなと大胆にも思ったのが約20年前のことです。
そしてその想いを理解してもらえるのはきっとネコ社であろうと考え、スタッフに自分の気持ち伝えることから始めました。
そして写真や資料整理・ラフ原稿を作成するなどの作業を開始、実際にその一部が具体化したのは12年前の2001年に発売になった『地鉄電車慕情』でしたが、こちらの本は私の作った模型の世界が大半を占めるものでした。
本当はその時に私は地鉄本よりも今回上梓することができたストラクチャー本を出したかったものの、ネコ社スタッフからは売れ行きの懸念等から先ずは先行で地鉄本から発売をして様子を見るのがベターだろう、という経緯で了解していたのでありました。
ただ、地鉄本発売時点では既に原稿はあらかた書き終えていましたので、それからの諸事情で干支をひと回りしてしまった訳であります。

只見線・会津宮下

磐越東線・大越

津軽鉄道・金木

栗原電鉄・若柳


南部縦貫鉄道・坪川


内容が内容ですので万人向けではありませんし、本の値段も3,000円超と高いものになってしまっているのがなんともですが、息の長い書物になってくれればと期待をしております。
もし宜しければお手にとって眺めて頂ければ幸いです。

(ほぼ同内容の記事で写真違いバージョンを姉妹ブログにも掲載しました⇒こちら

14 comments:

犬宰治 said...

コレはすばらしい内容ですね。
シーナリーガイドも愛読書ではありますが
おっちゃん本はさらに楽しめそうです。
「痴鉄~」はブックオフで買いましたが今度は新品を買います(爆)。
ご出版おめでとうございます!
ワタシの小説集も出しませんか、と出版社にお声掛けください(糞)!

chitetsu said...

犬宰治殿
おはようございます。
短編小説、愛読しております(^O^)。
コメントありがとうございます。
是非一家に5冊!
犬殿のシウマイ弁当小説を推薦します!

Cedar said...

コレはすばらしいないようですね!ってまだ立ち読みもしてないのに何でわかるねん?

しかし、この時代の駅風景を見るにつけ、地方の駅風景が無様に破壊されている現状が嘆かわしい。

chitetsu said...

Cedarさん
おはようございます。
是非立ち読みしてください!
今回の原稿を再確認時に調べると、掲載する駅の多くが鬼籍入りしていることに改めて驚きました。
編集しながら寂しさを感じました。

Mu. said...

さらっと買いました。

自分がよく知ってる駅で。
ここ30年、駅舎が外観ほぼそのまま変わってないよなって思えるのって。
国鉄時代から考えると須磨、塩屋、西明石駅ぐらいじゃないかな。
摂津本山も変わらないかなぁ…。

私鉄だとぐっと増えるかと思いますが、山陽電鉄、大蔵谷は変わらないかな。
阪急六甲や王子公園はそのままか・・・。

西日本編、いつごろですか?

chitetsu said...

Mu.さん
お買い上げ、ありがとうございます!
30年間の間で変化のない駅は恐らくかなり少ないのでしょうね。
今回の現行最終確認で各駅の状況を見てみましたが、軒並みアウト、に近い状況でした。
時の流れは速いです。
西日本編は年内目標です。

栂森 said...

何と素晴らしい作品(本)でしょうか!
本当に感謝です。
買わせていただくのが楽しみです。

chitetsu said...

栂森さん
ありがとうございます。
お役に立てば何よりです。
ちょっと高くて申し訳ないのですが・・・。

KAZU said...

おはようございます。

出版おめでとうございます!

昨日、ブログで本のことを知り、
早速購入しました。
懐かしい鉄道施設がいっぱいで感激!
図面や解説もあり、1冊で2度美味しいです!
・・・只今、読み込んでます!

昔、亡くなった父親が持っていた本の中に
鉄道施設や工場の簡易図面集がありました。
遺品と一緒に廃棄され泣きました。
扇型機関庫や三角屋根工場の図面は、貴重でした・・・

次作も楽しみにしています。

chitetsu said...

KAZUさん
コメント&お買い上げ、ありがとうございます!!
出来上がった本を改めて眺めるとアンバランスな部分や取り上げ切らずに諦めた物件のことが気になったりしていますが、限りのある紙面の遣り繰りですのでやむを得ません。
お父上の資料、残念ですね。
残っていたら貴重な資料だったでしょうね。

高瀬文人 said...

はじめまして。(あちらのブログには違う名前でコメントしたことがありますが……)

買い求めて拝見しました。
素晴らしい写真の数々、圧倒されました。
建物の写真は車両ほど気を遣って撮らないのでアングルがまちまちになりますが、形式写真のような撮り方で揃えてある前半は圧巻です。他と比べることによって個々の駅舎の特徴が際だって見えるのは圧巻です。

もうひとつ素晴らしいと思ったのは、対象へのまなざし、観察眼が写真から伝わってくることです。ああ、「地鉄」はこういうふうに作られてきたんだ、と非常に納得がいきました。

「小停車場本屋図」が収録されているのも、かたちが機能に従っているさまをつかむのに大変ありがたい資料です。『シーナリーガイド』『シーナリー・ストラクチャーガイド』に続いて、折に触れて眺められる本の誕生を喜びたいと思います。

西日本編の刊行を楽しみに待っております。

chitetsu said...

高瀬文人さん
コメントいただき、ありがとうございました。
また、買っていただき更にありがとうございました。
自分なりに模型にする時に役立たせようと撮り歩いたものから抜粋してみましたが、いざとなると難しいものですね。
ただ、レイアウト等はプロの編集のおかげで、形が付けられました。
機会がある毎に見ていただける写真集になれれば嬉しいです。

katsu said...

素晴らしい本の発刊おめでとうこざいます。
30年の資料、写真の蓄積、そして20年の構想!
どの作業とってもとにかく速いchitetsuさんがこれだけの時間を掛けた内容は大変なものでしょう。
これは早く買って読ませてもらうのが楽しみです。

chitetsu said...

katsuさん
コメント、ありがとうございました。
ストラクチャー本の出版は永年の懸案というか夢でした。
下手な写真並べて本にするなんて・・・と一回は思いとどまったのですが、やっぱり出したくてネコの本屋さんにプレッシャーかけちゃいました(^O^)。
宜しければ、ご笑覧ください。