2012年11月30日金曜日

保存車明暗~羽後交通の電車

現役時代を見ることができなかった鉄道の遺構と保存車両を追いかけて全国各地を回るのもまた楽しいものですが、時として悲しみになることもあります。
鉄道に限ったことではありませんが、日本の産業遺産に対する意識はまだまだ低いのだなと痛感させられることもまた多い気がします。
ここに紹介する羽後交通の二両の保存電車はその明暗をはっきりと分けた実例と言えましょう。


デハ5 90.9.30 湯沢市役所
こちらは湯沢市内、それも市役所管轄の敷地の中に保存されていた羽後交通のデハ5です。


デハ5 90.9.30 湯沢市役所
公園の奥に置かれた電車、ポール集電の貴重な個体と思いますが、実態はご覧のとおりで正に満身創痍の有様です。


車内もご覧のように荒廃していました。


台車周りのアップです。


この電車は直接制御なので、床下は至ってシンプルです。
このデハ5、当然ながらこの後解体されています。
余り見向きもされずに荒廃して解体・・・自治体が管轄する保存車に良くある話です。
蒸気機関車は鉄の塊なのでかなり荒廃しても塗装をすればそれなりになんとか保つことができるのしょうが、キャンバス張りの屋根を持つ電車や客車はそうはいきません。
鉄道の保存車だけでなく、色々な産業遺産に対しても言えることですが、先を見て維持することに対する予算を計上できない役所のこのような出来事は残念ながらいろいろな場面でいまだに見られるのが残念です。


90.9.30 あぐりこ
余りに荒廃した姿に落胆しつつ、もう一台の保存車のある梺を目指します。
途中現役時代にあった変わった駅名のあぐりこ駅を探しました。
バス停にその姿を留めるだけで駅の跡がどこなのかはよく解りませんでした。


デハ3 90.9.30 梺
梺に到着です。
こちらのデハ3は建物の中に大切に保存されていました。
その分、写真を撮るのには難渋しますが。
電化開業時からの電車です。


デハ3 90.9.30 梺
正面からの一枚。
ミント状態の保存電車と言えるでしょう。
いろいろと考えさせられる、明暗がはっきりと別れた羽後交通の保存電車訪問記でした。





6 件のコメント:

  1. chitetsu殿、おはようございました。
    腐ってもデハ5、せっかくかっこいいのにこうなっちゃえばモハや(デハや?)キケンでもありますね・・・
    なんで行政ってなにをやってもスカタンなんでしょうかー!?
    って答えは解ってるんですけどね(爆)。
    さて、拙ブログでは今夜、よい例をとり上げようと考えてました!お時間あるとき見てやっていただけるとうれしいです。

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  2. 折角保存する事にしたのですから、すべて後者のような保存方法にして欲しいものです…

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  3. ボロボロになって消えてゆく保存車両たちを見るのは、本当に忍びないですね。
    保谷の機関車のように、美しい姿で残してもらいたいものです。
    ところで、大切に保存されている方のデハ3は、有名な?窓から煙突が飛び出していた車両ですね。

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  4. イヌ5さん
    地域の歴史を伝える遺産としてせっかく残した電車が朽ち果てるのは残念です。
    なんで行政のやることはこういう結末を迎えるのでしょうかね。
    良い例、拝見しました。
    こちらも一時期は似たような状態になっていましたよね。
    自分もこのネタ仕込んでおりました・・・。

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  5. 穴熊さん
    後者は写真が撮りにくいのは難点ですが、良い状態で後世に残すことが一番大事なことと思います。

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  6. 元・いきもの部長さん
    動かなくなった車両の保存は実際に維持するのは色々なハードルがありますよね。
    後世に伝えるためには屋内保存かやはり何かしら限定的に公開するような施策が必要なのかもしれません。
    窓から煙突が出ていたデハ3は模型で有名ですよね。
    某社からもリリースの予定があるようです。

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