2012年6月17日日曜日

電車庫モジュールの製作(4)

ストラクチャー、鉄道関係のものは大体格好が決まっているので割合悩むことは少ないのですが、こと一般の商店や住宅についてはいつもどのような形にするかでは毎回かなり悩んでしまいます。
実はこのストラクチャーデザインの決定がモジュール製作全行程の中で一番時間を食ってしまうのです。

お勧めの参考文献三冊

いつもまずは色々な写真集やスクラップブックや自分の写真ファイルなどを眺めてイメージを徐々に膨らませてゆくのですが、今回も色々な書籍、サイトの写真を参考にして検討をしました。
その中でも役に立ち度BEST3と思った参考文献を参考までにご紹介します。

写真の右から紹介しますと・・・

「失われた日本の風景 都市懐旧」 薗部 澄/写真 神崎 宜武/文  河出書房新社

‥‥風景写真の第一人者、薗部 澄氏の撮られた主に戦後10年間の東京及び地方都市の街並みのしっかりとした描写の写真が圧倒的な空気感を伴って掲載されており、毎回参考にしているイチオシの一冊です。

「1960年代の東京」 池田 信/写真 松山 巌/解説 毎日新聞社

‥‥写真家としてはアマチュアの池田 信氏が細めに記録した1960年代の東京が膨大な写真でまとめられており、この手の本にありがちな東京の名所の昔写真にとどまらず中心部から郊外まで、表通りだけでなく裏通りまで記録されており、当時はなんでもなかった風景を記録することの大切さを痛感させられる一冊です。

「昭和幻風景」 山本 高樹著 大日本絵画

‥‥つい最近出版されたばかりの本です。
映画美術に携わられていた山本氏がフリーのジオラマ作家として製作をされた作品集です。
最近はNHKの朝の連続テレビドラマの映像でお馴染みの方もいらっしゃるでしょう。
時代設定は私の世界と近く、実物をどのようにアレンジしまたどのようにデイフォルメをするのが良いのかについての工夫の仕方等共感することの多い作品集です。

以上三冊の他にも何十冊かの本を見たり、自分の街並み巡りの旅の時の写真等を見返したりを繰り返し交えながら一軒一軒のデザインを決めてゆきます。
「失われた日本の風景 都市懐旧」 より

上記資料の中にあった写真から、新宿南口の洋品店の写真が気になりました。
そこで安易にもデザインを丸ごと頂く事としました。
不思議なもので、最初の一軒のデザインが決まると随分と肩の荷が降りるものです。
一軒のデザインが街並みを連想させるからだと思います。

この建物のキモである看板はこの本をコピーしたものを角度補正のうえ、トレースをしてそれにカラー印刷を重ねて作成しました。

洋品店ファザード完成
建物自身はバラックに毛が生えた程度のもののようですが、店構えについては洋品店らしくちょっと洋風のしつらえにすることにしました。
扉や窓枠はグラントラインのパーツから適当に切り貼りをして構成をしました。
ちょっとアメリカン?

洋品店立面仮止め
洋品店が箱状になった状態です。
正面の店構え以外は純和風の安普請です。
綺麗な看板は当然ながらこのままではなく、後ほど汚されてゆく予定です。

喫茶店ファザード仮完成

次は喫茶店に手を付けます。
この喫茶店は東京で修行時代にかじってきたことを活かして地元で開業をしたので、戦後の流行を先取りしたデザインのお店にしたのが自慢、という設定です。
戦後に流行った窓のデザインの一つがこのタイプのせり出し窓です。
色も明るめのカラフルなものが多く、腰のタイルもよく採用されました。
二階の上下二段になった引き違い窓のデザインも流行しました。

喫茶店と洋品店配置イメージ
喫茶店も箱状になりました。
こんな感じに並べようかと思います。
正面意匠は結局こんな感じに
最終的には二階部分には縦方向に角材を並べて直線的なデザインにしました。
これも戦後流行したデザインです。
横の面は飲み屋小路に面している設定のため、二階に薄汚いスナックが同居していて横から入れるような構造にしました。

細かい部分は後まわしながら、これでようやく二棟、取り敢えずの姿を現しました。
予定では3倍の6店舗を予定しています。
まだ先が長いです・・・

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