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2013年8月22日木曜日

ついに・・・吊り掛け電車を運転しました~一畑電車運転体験

先週の週末は前に書きましたように(こちら⇒一畑電車のオリジナル電車回顧)、一畑電車に久しぶりに行ってきました。
今回一番の目的はデハニ53の体験運転で、電車ヲタ一直線の息子を巻き込んでの夏休み親子旅ということで2泊3日のスケジュールで行ってきました(以前の夏休み親子旅はこちら⇒夏休み親子旅 広島電鉄ほか)。

本物の電車の運転は電車好きならだれでも夢見ることではないでしょうか?
少なくとも私はその一人でありました。
でもこればかりは叶わぬ夢・・・と思っていたのが最近では様子が変わってきています。
今や全国各地でイベント的な物が多いものの、実物車両の運転体験ができるようになってきました。
それでも吊り掛け電車好きChitetsuとしては、運転したいのはあくまで『吊り掛け電車』であります。
最初は期間限定のような感じで始まったデハニの体験運転、今や完全に定着して専用線まで完備され、週末ならいつでも体験できるようになっています。
当初の期間限定での体験運転時にはスケジュール的にちょっと行けないな・・・と指を咥えていましたが、常設となれば可能性は高まります。
いつかチャンスを見つけてやってみたいと思っておりましたので、財務大臣の納得感が高い夏休みの親子旅にかこつけて根回し無事終了。
『自分の夢叶えたろかスペシャル』を実践できる運びとなりました。

デハニ53 13.8.17 雲州平田
体験運転線で出番を待つデハニ53。
こちらの電車は私の大好き電車ランキングベスト10というのがあったとしたら、即ランクインする一両です。

『地鉄電車慕情』から
どれだけ好きかといいますと、その証拠がこちら。
自作後に製品が発売されましたが、そうなる前の段階でペーパーで自作しても欲しかったのがこの電車で、こちらの作品はかなり力を入れて製作した自分の中でもエポックな電車模型の一両になっています。

デハニ53 81.12.28 美談ー大寺
こちらはデハニ53に初めて会った時のショットです。
この時は偶然やってきた保線列車に会えるというサプライズがあって、大変喜びました(その時のレポートはこちら⇒嬉しかったデハニの貨物列車)。
よもやこの電車を自分で運転できるとは夢にも思いませんでした。

デハニ53 92.5.5 平田市
こちらはそれから11年後に車庫で見たデハニ53。
昭和初期のいかつい面構えと狭窓の並んだ車体、車体塗装と『いかにも』な電車です。

さて、本題です。

13.8.16 羽田
学生時代から出雲の地に行くのは鉄道で行くのが当たり前、という感覚がなかなか拭えませんでした。
学生時代の利用列車は京都からの夜行『山陰』。
長い道のりでした。
その当時は伯備線も非電化のディーゼル列車で、岡山経由の選択肢もあまり良好でありませんでした。
兎に角、鉄道でゆく出雲の地は東京からはやはりアクセス面で厳しく、多くの地方私鉄訪問時にも何故か一畑電車はどうしても『遠い』という先入観が拭えませんでした。

今回は、息子の希望もあり飛行機でひとっ飛び。
あっという間に出雲縁結び空港に到着しました。



13.8.16 武志
今回の運転体験は現地へのアクセス時間の関係から二日間コースを選びましたので、初日の講習開始は夕方です。
それまでは一畑電車の京王線と南海線の復活カラーの撮影で楽しむスケジュールとしました。
こちらは沿線の駅に貼られていたポスター。

デハニ体験運転テキスト
一日目の講習は夕方、松江しんじ湖温泉駅で行われました。
指定時刻に到着、受付を済ますとこんなテキストが渡されました。

デハ3016 13.8.16 松江しんじ湖温泉

講習会場は駅のどこかの会議室でやるのか?と思ったら、この電車の中で行われました。
この電車、講習会の時間に合わせて回送されてきました。
営業運転前の運用間合いを利用して使うのかと思ったら、講習会が終わった後またもや回送せれてゆきました。
つまりは、講習会のためにわざわざ雲州平田から回送で一往復してくれたもののようでした。

講習風景 13.8.16 松江しんじ湖温泉
今回の2日間コース参加者は10名弱。
自分達と同様東京からの親子連れや、関西から来た方が多かったようです。

こちらはその車内での講習会風景です。
テキストに合わせて、一畑電車の歴史から、電車運転免許の種類やどんな試験がなされるのか過去問題を見せて頂きながらの説明などがあり、その後に電車が動く仕組み・実際の運転方法の解説指南を約1時間に渡って説明を受けました。

デハニブレーキ操作説明
テキストの中には特に操作が難しいブレーキ弁の操作方法が詳しく説明されています。
これについては実際の運転風景のビデオを使っての操作方法の説明がありました。
それぞれの用語は既に知っているので、この時は『ふ~ん』と先ずは納得したのですが、見るとやるとでは大違いなことはこの時はまだ分かっておりませんでした。

13.8.17 雲州平田

日付が変わって翌日は体験運転会場の雲州平田で集合です。
案内された校舎?にはこんな説明が書かれていました。
二日コースは電車内で講習でしたが、一日コースの場合はこちらで午前中講習を受けます。
開講式はその一日コースの方々も一緒に執り行われました。
そして、二日コースの我々は・・・

デハニ53 13.8.17 雲州平田
開講式終了後即、体験運転開始です。
いよいよ電車に乗り込みます。
体験運転線には電車乗り場を兼ねたデハニ車庫が新設されていました。

デハニ53 13.8.17 雲州平田
車内の様子です。
先ずは指導して頂く先生のお手本運転が行われます。
運転操作を手の届くところで見れるだけでも嬉しくなってきますが、見た目には冗談交じりにおしゃべりしながら実に簡単に運転操作をするので(当然ですが)、これまた一見簡単そうに見えます。
但し、実際のブレーキ操作を見ていると、重なり位置から右へハンドルを操作してもすぐにはブレーキが効いてきません。そして、ブレーキが効かないままにハンドルを一回重なり位置に戻してもう一回ハンドルを右に回すと一気に制動がかかってきました。
しかし、この操作の時間はものの数秒。
その間に時速15キロとは言え電車はどんどん進みます。
これを自分でやるのは結構難しいと急速に緊張してきました。

デハニ53 13.8.17 雲州平田
車内から見た体験運転風景です。
体験運転線は営業車の車庫とは柵で仕切られています。
先生に続いて、運転経験170回以上というエキスパートコースの人が上手に運転します。
その後、受付番号順に運転体験が始まりました。
どの人も自分の順番が近づくにつれどんどん緊張が高まって結構引きつっているのが伝わってきます。
33t以上もある電車を、基本的には先生は口は出しても手は出さずに運転を任されるわけですので、たった150Mでも緊張感は相当なものです。
先生のお話でも、やはり見ているのとは違って、運転席に座るとそれまでの覚えたことがどこかに飛んでしまって頭に中が真っ白になってブレーキ扱いがメチャメチャになっちゃったりしちゃうそうです。
前の順番の方の運転を拝見していると、やはりブレーキを重なり位置から圧力を込めてもすぐに効かないので、もっと込めてしまって急制動がかかって慌てて緩めるということになり易いようです。

デハニ53 13.8.17 雲州平田
そして、いよいよ運転の順番がやってきました。
もうドキドキです。
傍目で見ているとそれほどでもなくても、いざマスコンとブレーキ弁を手にすると極度に緊張してしまいました。
恥ずかしいと思っていた『前方よし、出発進行!』の言葉が自然と出てきました。
一回目の運転は案の定、ブレーキ圧力をかけすぎてきつく制動がかかってしまい、慌てて緩めたら緩め過ぎ、ブレーキ弁を右に左に動かす醜態を晒して、停止目標かなりオーバーで停車しました。
ブレーキ扱いは必ず操作後は重なり位置に戻すというのが基本だと言われても・・・そう上手くはいきません・・・でした。
重なり位置の意味合いも実際に体験して初めてわかりました。

デハニ53 13.8.17 雲州平田
次は荷物室のあるパンタ側に移動して、二回目の運転です。
先生の指導は一言『男は我慢。ブレーキ効くまで余計な操作はしないで圧力が高まるのを待つのだ!』。
お陰さまで、その指導の甲斐あって二回目の運転は無事にほぼ停止位置に止められました。
こちらは貨物ホームでその記念に撮ってもらった証拠写真?です。

デハニ53 13.8.17 雲州平田
こちらは息子の体験運転風景です。
今回の参加者では最年少。
流石に本物の運転台に座って緊張しています。
先生がブレーキ扱いを教えてくれているところです。
先生の話では、電車好きの大人ほど上手く止まれず、中学生や女性の方が上手く止められることが多いとのこと。
息子は想定外に上手く運転できていました。
ちょっと悔しい・・・。

実質的な体験運転距離は片道120M強、運転の時間にして約32秒×2。
あっという間の運転体験でしたが、先生のユーモアに富んだ指導と合わせて大変楽しい時間を過ごせました。

デハニ体験参加証など
こちらは今回の体験運転でもらった、ばたでん社紋入り手袋や参加証・車内補充券風の参加記念証などです。
体験運転者の通算852・853人目であったようです。
これまで体験した850人強の全体人数のうち150人ぐらいの人が二回以上体験運転にチャレンジしているそうです。

デハニ関連おみやげ
こちらは駅売店で購入したおみやげ。

・・・・どちらにしても、子供の頃からの長年の夢が叶えられた一日でした。
体験を実際にする時間は短く、それなりの体験料金ではありますが、それを補って余りある経験が出来たと思います。
ばたでんのスタッフの方々、ありがとうございました。

8 件のコメント:

ズボズボ犬 さんのコメント...

ズボズボ爺さま、おはようございます!
ついにやってしまいましたね!
1/150~1/1へ!マルチゲージズボズボ爺の鑑!
そうか、ご子息の方が上手に出来たのですか?!
このみち50年のおっちゃんとしてはそれは悔しいですね!

chitetsu さんのコメント...

ズボズボ犬殿
ついにやってしまいました。
これでマルチゲージ痴鉄を標榜してもクレームが来なさそうです!!
運転シュミレーターなぞで遊んで頭でっかちになったヲタは、大抵ノッチオフが遅めで速度を出してから格好良くバッチリ止めようとして失敗するんだそうです・・・。

hawk さんのコメント...

こんにちは。先日、小生は出張でデハニを見られたので、次回の出張を運転体験に合わせて行こうとしていたのですが、日程が合わず運転出来ませんでした。
実際に運転席に座ると緊張する様子が記事から伝わり、小生も何とか体験してみたいと思います。うまく、出張日程が組めればいいのですが(うちの財務大臣は、家族旅行でもOKしてくれそうにありません)

chitetsu さんのコメント...

hawkさん
こんにちは。
日程組はなかなか都合良くいかないものですよね。
見るとやるとでは大違い、なかなか思うようには行かない体験は貴重ではないでしょうか?
是非体験されることをお勧めします。

KAZU さんのコメント...

はじめまして

KAZUと申します。
吊り掛け電車の体験運転を親子でされたんですね。子供には、良い社会勉強&夏休みの思い出になったのでしょうね・・・。
吊り掛けモーターと自動ブレーキの組み合わせの車両を見るのも動かすのも貴重ですね。

貴重な体験をしたデハニをモデル化されるのですか?

chitetsu さんのコメント...

KAZUさん
はじめまして。
親子共々、産業遺産レベルの電車を実際に操作体験できたのは、大変いい思い出になったと思っています。
デハニは地鉄電車バージョンを製作済みなので、これでよしとします。

SME さんのコメント...

 お久しぶりです。 地鉄さんは、とうとうツリカケ車の運転士になられたのですね(?!)。                ブレーキ弁は、車と同じように、ある程度のところでノッチオフして惰行→ブレーキを「掛け分け」と言う感じにしているのをツリカケ全盛期時代の運転士さんの右腕の動きで見た記憶があります。 

 小学校のときに地下鉄博物館の「東京高速鉄道のツリカケ生首」で力行→惰行→ブレーキで真似したらジックリと止まる感じに出来たのが感動でしたね(^^;)。
 
 それを考えると、昔の地方私鉄の運転士の人は、よく多彩で個体差もある車両で、制御機器も違う車両をダイヤに乗せて運転していたものだなと感じます。          (追伸)地方私鉄は、設備面で件の東Q1000系が底をついたら、狙える「サブロクゲージの18m級」が無くなるので車両や運行・経営面でターニングポイントになるだろうと・・・名鉄車だと地方私鉄では出力特性が「加速寄り」過ぎて使いづらいのだとか・・・。           

chitetsu さんのコメント...

SMEさん
コメントありがとうございます。
ついに憧れの運転手になれました(^O^)。
ブレーキ扱いは博物館のアレでやったのとは大違いで、やはり実物を前にすると緊張します。
地方私鉄でよく見たブレーキ弁の扱い方、大手私鉄のそれとはずいぶん違って興味深く見ていましたが、なかなか難しいものです。
T急のお古が枯渇したら、03系が引退するのを待つしか無いのでしょうか?