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Sunday, May 13, 2012

木造電車庫の検討(1)

私は以前から80分の1の模型で昭和30年代の日本の鉄道風景を再現することをライフワーク的にやっています。その中でいつも感じるのはNゲージがストラクチャーが充実しているのとは対照的に80分の1の世界ではまったくもってお寒い状況であることが残念でしょうがありませんでした。欧米での商品の充実ぶりや雑誌での実物ストラクチャー記事の扱いが多い事等を考えてもどこか日本のそれはおかしい、と思うのです。
しかしながら、一モデラーが何んぼ叫んでも実現することは叶いません。そこで考えたのが、昭和の鉄道風景を再現するストラクチャーをエムズコレクションwww.mscollection.net/さんなら、柔軟な対応も可能そうだし、ちょうどレーザーカットの機械を購入したということで、そのマシンの働きぶりも直に拝見して、私が欲しいものを好き勝手にデザインする美味しい部分の設計を担当して、後の製造・販売のことはエムズさんにお任せするという割と都合の良いコラボレーション企画であればその一端が開けるのではないかと考えたわけです(この辺りの話はRMモデルス178号から180号まで連載しました)。
この企画は現在までに駅舎のほか各種鉄道関係ストラクチャーをリリースして、駅の周りの主要ストラクチャーはほぼ網羅することができるまでになりましたが、大物の電車庫は手を付けていませんでした。
常々次回はリリースしたい、とエムズさんと話していたものの、先送りしていたこの車庫を次回作として手を付けることとなり、年が変わるころから色々と計画を練っていました。

それより前に製品化の実現可能性を模索する意味で一回試作的に自作してみたのが、私が所属する軽便モジュールクラブの「下北南部電鉄」のモジュールに登場した車庫です。


下北南部電鉄モジュールで製作した電車庫。
軽便用ではありますが、基本設計はその先の製品化のことを見越してこの車庫製作時にまとめ、それをダウンサイズして製作しました。
この電車庫自作時にはエムズさんに小屋組み部分を試作担当してもらい、製品化の可能性も探ってみました。
この車庫の設計時に参考にした車庫から数例ピックアップしますと・・・


81.9.6 村松
90.9.9 村松
雪国らしい扉と付いた蒲原鉄道・村松の電車庫。
奥行きがすごく長い車庫です。
窓は小さ目、今回予定している電車庫同様縦羽目板貼りです。

81.9.4 城川原

先日アップした富山港線・城川原のオープンな電車庫。
富岩鉄道時代のものではないでしょうか?
91.6.29 美濃赤坂
美濃赤坂の東海道線の線路に沿って建っている西濃鉄道の機関庫。
質素な造りながら、魅力的なプロポーションです。
右側1スパン分壁がないのも良い感じです。

この辺りのスタイルを吟味して、実際に図面を引いてみたのが下のようなものです。
車庫は外形基本寸法が一緒でもその羽目板や窓配置等によって、立派にもなれば貧相にもなり得ます。また、実際の車庫には左右に色々な小屋がついていたりして、すっきりした姿を一望できるケースは稀で、その点でもその設計は難易度が高いと実感しました。

車庫側面の羽目板・窓の配置案3案。
窓の数・羽目板の縦・横等で雰囲気が随分と変わります。
基本は横羽目板・窓が上下にある、割合開放的な車庫を目指そうと考えました。
また、電車だけでなく非電化の地方私鉄の機関庫や気動車庫にもなるような配慮もしてみたつもりです。
内装が丸見えになってしまう建物なので、設計では簡単に書ける内装も、実際の製品化には素材感を生かしながらも強度・反りのクリア等、難易度が高く、エムズさんはかなり悩んだとのことです。
その辺の技術的な問題もあって、製品はこれらを折衷した案になる予定です。



車庫の寸法関係をまとめたところ。
高さはフレキシブルレールを敷いてかつ、既製品の大半の車両のパンタグラフ高さをクリアする寸法を目指しました。
長さは20M車両がぴったり一両分格納できるサイズとしました。

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